Jun 15, 2004

実録!オンライン古本屋の作り方 Ver 1.1

今まで公開していたものをより細かく分けて見やすくしてみました。

オンライン古本屋めぐり、もしくはリアル古本屋めぐりをされている皆さんの中には「いつか自分も」と思われている方も多いと思います。自分も高校生の頃はマンガが大好きで「将来は古本屋もいいなぁ」なんて思ってました。そこで私が実際にオンライン古本屋を立ち上げたときの話を元に、わかりやすく説明したいと思います。自分が失敗したときのことなども交えて書きますので全てを真似しないでくださいね。また内容にはできるだけ正確を期しますが万が一間違いが合った場合も当店は一切の責任を負いませんので皆様の責任において参考にしてください。間違いを発見された方はぜひご指摘ください。よろしくお願いいたします。

第 1 部 開業しようと決めるまで

これが一番難しいかもしれませんね。開業しても売れなかったらどうしようとか、仕入れはどうするのとか、届出先がわからないとか。とりあえず何で古本屋をやりたいのかを考えてみましょう。
ちょっとでも「古本屋をやりたいなぁ」と思っている方は本が好きで、古本が好きで、本をたくさんもっているのではないですか?そして不要になった本を古本屋に持っていってもとても売る気にならないほどの査定をされたり、買い取れないといわれたり。自分にとってはすごく思い入れのある本ばかりだからそういった状況になるのは辛いですよね。そういった方は今すぐに決心しましょう、古本屋を開業するぞ、って。

オンライン古本屋には店舗は基本的に必要ありません。もちろん、店舗とオンラインと両方やっている方もたくさんいらっしゃいます。でもオンラインのみのほうが気楽に開業できるので、うまくいけば専業になるのもよし、って感じでいいんじゃないかと思います。自宅に本棚を用意して(もちろんあるものでも OK)ホームページを作って通販を行うのが普通のオンライン古本屋のやり方だと思います。在庫数も何冊しかないからダメ、なんて決まりもないし、自由に決めることができます。もちろん、その後運営する上でどれくらい在庫を持つかということは大事ですよ。ちなみにうちは開店時在庫 100 冊ちょっと、開店 8 ヶ月目の 2001 年 11 月現在で 約 600 冊程度(未登録含む)です。多い方だとオンライン専業で 5000 冊くらいじゃないかと思います。

第 2 部 決心したら本を集めよう

さあ、開業を決意したら次はその準備です。まずは本を集めます。自分の蔵書が多く、増やす必要がなければそのままでも構いません。ただし、売れてしまえば蔵書は減りますからその時にどのように仕入れを行うかを考えます。本を仕入れるにはいくつかの方法がありますのでそれぞれ紹介します。

  • 「セドリ(背取り)」
    一番簡単な方法で、古本屋から商品を買ってきてそこに自分の値付けをして売る方法です。大型新古書店(ブックオフやブックマーケットなど)の 100 円均一棚などを利用すれば結構集まります。また、自分が探している本をピンポイントで見つけることができるのは魅力です。逆にデメリットとしては地域により、大型新古書店の品揃えが悪いとまるで仕入れができない、自店での販売価格が高くなってしまい思うように売れない、大型新古書店に顔を覚えられると出入りがしづらくなる、などがあります。店によっては業者を歓迎しないところもありますので注意しないと声をかけられるかも知れません(個人的にはそんな店はダメだな、とも思います。商売に個人も業者も関係ないはずです。個人経営の店とかでない限りは業者歓迎くらいの気持ちでいないと)。

  • 「通販買取」
    ホームページを見てくれたお客さんから宅急便などで本を送ってもらい買い取る方法です。自店が特色ある本屋の場合(専門店やジャンル特化など)、それをわかっているお客さんがそういったジャンルの本を大量に処分してくれるなどがあるので比較的売れる本を集めやすいと思います。反面、一見さんなどに買取を依頼されると自店では扱っていない本の買取があることもあり、売るに売れずに困る、などもあります。いずれもページ上できちんとインフォメーションを出せば防げる問題ですが、覚悟はしておいたほうがよさそうです(7 ヶ月ほど営業してみてこれは皆無でした。うちが極端な専門店だからかもしれませんがそんなに神経質にならなくてもよさそうです)。また人から買取を行いそれを販売する、という場合には「古物商」の免許が必要になります。後で詳しく説明しますが、各県の公安委員会に必要書類を届け出ればほぼ許可はおります(ただし時間がかかるので早めの申請を)。

  • 「組合に加入する」
    古書組合というものがあり、それに加入すると「市」に参加できます。ここでは各古本屋で不要となった本などが大量に安く手に入ります。ただし、加入の際に 75 万円前後の加入料がかかりますのでオンラインで兼業でやろうという人には向かないと思います。本気で古本屋だけで食べていこうという気合のある方にのみお薦めします。くわしくはオンライン専門で組合に加入されている「オヨヨ書林」さんの日記などをご覧ください。オンライン古本屋にとって大変ためになることが多く書かれています。おすすめです。
大体、この 3 種類の方法で仕入れを行います。「組合に加入する」は兼業ではちょっと現実的ではないので詳細ははぶきますが、「セドリ」と「通販買取」は必要になると思います。

第 3 部 警察署に古物商申請、税務署に開業届けを出そう

面倒なのはこの「警察署に古物商の申請」と「税務署への開業届」だけです。あとは大体開業してからでも何とかなる問題なので、これをクリアしましょう。

古物商の申請
まず「古物商の申請」ですが、これは各県の公安委員会が管轄となります。じゃあ公安委員会ってどこにあるのか、というと所轄の警察署になります。「所轄の」がポイントです。自分の住所の所轄警察署がどこだかわかりますか?間違ったところに行っても受け取ってもらえないので注意してください(私がやりました)。まずはその所轄の警察署の「生活安全課」に行って必要な提出書類を受け取ります。その際に係りの方から説明を受けると思いますのでそれにしたがって必要な書類を集めます。渡される書類は下記の 4 点です(この例は神奈川県のものです。他県では異なる場合があります)。

  • 申請書 2 通(個人用、管理者用)
  • 誓約書
  • 説明が書かれた書類
この他に自分で手続きをして入手する書類は下記の 4 点です。
  • 登記事項証明書(東京法務局発行)
  • 身分証明書(本籍のある役所)
  • 略歴書(一般の履歴書でよい)
  • 住民票(戸籍のある役所)
さらにこれらは提出用と自分で保管する分とで 2 部ずつ必要になります。警察署でコピーなどは取れないと思いますのであらかじめコピーしておくと便利です(これを忘れてコピー機を探して 1 時間ほど歩き回りました)。

この中で馴染みのない書類は登記事項証明書と身分証明書でしょう。登記事項証明書は東京法務局に直接出向くか、申し込み書類を郵送で送れば発行してもらえます。郵送でも 1 週間くらいで送付されるのでこちらのほうが便利でしょう。申し込み書類は東京法務局のホームページhttp://www.moj.go.jp/main.htmlのなかにあるのですがたどりつくのが大変そうなので直接リンクを張ります。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.htmlここのページに「登記されていないことの証明書の申請書用紙」という PDF 形式の申請書のマスターと説明が書いてあります。印刷して必要事項を記入して、郵便局で 500 円の登記印紙(収入印紙ではないです。注意!)を購入して貼って、自分の住所名前を書いた封筒に 80 円切手を貼っていっしょに封筒にいれます。これで送り先に送りましょう。 1 週間ほどで「登記されていないことの証明書」が送られてきます。
身分証明書は「本籍」のある役所に発行してもらいます。役所に行き、所定の用紙に記入すればその場で発行してもらえます。「身分証明書」という名前から「免許証」と勘違いする方も多いと思いますが、住民票のようなきちんとした書類です。郵送だと時間がかかると思いますので本籍が現住所と違う方は早めに申請しましょう。

上記全ての書類をそろえたらもう一度警察署へ行き、申請を行います。書類に不備がなければ 10 分ほどで受け取ってもらえます(警察署の中には「ネットは危ないんだよね」なんていらぬ事をネチネチと言われるところもあるようです)。その際に、営業所が存在するという証明が必要になります。自宅でネット通販を行う場合はアパートやマンションの賃貸契約書などが必要になりますのであらかじめコピーして持っていくと面倒がないでしょう。また後で実際にその場所に存在するか確認に来るのでその際に渡すところもあるようです。どちらにしてもまとめてコピーをとっておきましょう。また収入証紙(収入印紙ではありません※) 19000 円分を購入して提出します。これは警察署にたいてい併設している交通安全協会で購入できます。

※収入印紙と記述していましたが収入証紙の誤りです。ご指摘をいただきました。ありがとうございました。

受け取ってもらえればあとは 1 ヶ月ほど待てば許可が下りるはずです。

税務署への開業届
次に「税務署への開業届」を提出します。届出先は各市の税務署です。個人事業主としての届出になりますので(もちろん法人を設立してもよいのですが、年商 1000 万以上の場合に恩恵に授かれるので最初は必要ないと思われます)必要な書類は「個人事業開廃業届出書」、青色申告にするなら「青色申告承認申請書」も同時に提出すると便利です。青色申告とは帳簿をつけることにより、白色よりも控除金額が大きくなります。その他にも様々な特典があります。詳しくは青色申告会のホームページ(東京青色申告会のページ)などをご覧ください。書類に「屋号(当店なら電脳書房)」を書く欄がありますのでそれまでに屋号を決めておくといいでしょう。これを決めると気合も入ります。

書類の記入は一人では恐らくできないと思いますので、相談窓口のようなところに聞きましょう。青色申告会の方が来ていれば丁寧に教えてくれます。相談は無料なのでどんどんわからないことは聞きましょう。青色申告会に入会すればその後、確定申告の時に書類の書き方など教えてくれますので便利です。

第 4 部 ホームページを作ろう

各種届出をすませると古物商の許可がおりるまで待ち時間が生じます。ここでホームページを作ってみましょう。ホームページを作ったことがない人は市販の参考書などを見て練習しておきましょう。作ったことのある人はどういったページ構成にするかを考えます。必要なページはトップページ、目録ページ、販売方法・買取方法の説明ページ、リンクページ、特定商取引法に基づく表記のページなどです。その他にも必要に応じて掲示板、日記、読み物(連載ページ)などなどです。

ここでホームページ一般の作成方法は紹介しません。どうしてもオンラインで知りたい場合はとほほの WWW 入門などのページを参考にしてください。

さて、オンライン古本屋をつくろうと考えている方は多くのオンライン古本屋を見ていると思います。自分の気に入ったデザインのページや、好きなお店のデザインなどを参考にして作ってみましょう。実際に店舗があるわけではないので物理的に制限があるわけではありません。何をやっても自由ですし、売れる売れないは全て自分の腕にかかってきます。いろいろ試してみましょう。

トップページはお店の入り口です。何を扱っているのか、どういう特色を持った店なのかが簡潔に、一目でわからなければなりません。目立たせようとして画像を大量に使っても無駄です。いいお店はシンプルなデザインで目を引くように作られています。いくつも作ってみて使い勝手が良く、なおかつ見やすく軽いページを目指しましょう。

販売方法・買取方法のページには必要な情報をきちんと載せましょう。
販売方法のページに必要なのは最低でも下記の項目です。

  • 送料はいくらかかるのか
  • どうやって申し込むのか(メール、FAX、電話、買い物かご、注文フォーム等)
  • お金はいつ払うのか(先払い、後払い)
  • 支払方法(郵便振替、銀行振込、代金引換)
  • 商品の引渡し方法(冊子小包、宅急便、ゆうパックなど)
  • 振込手数料はどちらが負担するのか(お店、お客さん)
  • 支払はいつまでにしてもらうのか
買取方法のページに必要なのは最低でも下記の項目です。
  • どうやって見積もりをするのか(直接送ってもらってから、メールで書名などを送ってもらって簡単な見積もりをしてから直接送ってもらうなど)
  • 買取金額の支払方法(郵便小為替、銀行振込、郵便振替、現金書留など)
  • どんな本を買い取るのか(全ジャンルなのか、特定ジャンルなのかなど)
このほかにも必要に応じて査定方法や高額買取リストなどお客さんの目を引くようなページ作りを目指しましょう(当店のページができているかは置いといて)。

リンクページは非常に重要です。オンライン古本屋は相互リンクを非常に大事にしています(他のジャンルでももちろんそうですが)。あらかじめ自分の好きなオンライン古本屋にはリンクを貼っておき、開店の際にはメールなどでお知らせしましょう。ほとんどの古本屋が相互リンクを貼ってくれます。なかには各店が発行しているメールマガジンで宣伝をしてくれる場合もあります。本来商売敵のはずですが、敵同士になっていてはオンライン古本屋業界そのものがダメになる可能性もあります。相互リンクを貼ることによって全体が大きくなっていきます。ぜひとも相互リンクを有効活用しましょう。お礼のメールなども忘れずに!

本屋にとって一番大事なのは目録の作り方。ただ並べているだけでは売れるわけはなく、小特集を組んだり、特価品を出したりしながらそのときそのときの最善の方法を探します。これで完璧というものはなく、常に流動してると考えましょう。目録作りはそれぞれの個性なのでとやかくいいませんが、便利な機能として「買い物かご」システムの導入をお薦めします。楽天市場などのようにシステム側で提供しているものもありますが、私が使っているシェアウェア「ショッピングバスケットプロ」の説明をします。
これはネットサーフレスキュー Web 裏技というサイトでシェアウェアの CGI プログラムとして公開されています。私が使っているのはこれの Ver3.35 です(2001 年 11 月現在では Ver3.42 になっています。Ver4、5、6 もありますがこれは見せ方が違います。詳しくはサイトのほうへ)。在庫管理(商品が売れると自動的に在庫数が減る)ができて、自動メール配信機能でお客さんと自店にそれぞれ注文メールを送付してくれたりでなかなか便利な CGI です。データ形式は CSV (カンマ区切りテキスト)フォーマットを使っているので Excel でもテキストエディタでも編集ができます。価格も 3000 円と非常に安価なのでコストもさほどかかりません。買い物かごシステムは有料で借りれるところもありますが表示形式などがかなり限定されていたりするようです。CGI (というか HTML)をちょっと勉強すれば自由な表示が可能になりますのでおすすめです。ダウンロードするだけならお金はかかりませんので一度ダウンロードして見てください。なお、CGI については詳しくは解説しません。 Web 裏技でも詳細は書かれていませんので各自参考書を買うなり、Web 上で調べるなりしてみてください。KENT WEB というページに自宅で WWW サーバをたてるというページがありますので、そちらを参考にするとインターネットにつながなくても自分のマシン上で CGI の動作テストなどができるようになります。お薦めです。

第 5 部 公開場所をどうするか

これは結構頭を悩ませます。無料ホームページスペースなどでは商用利用はほぼできません。なかにはできるところもありますがちょっと待ってください。無料スペースに出しているお店を信用できますか?ちょっとあやしくないですか?ネット通販は信頼一番。無料スペースでは信頼どころではありません。
プロバイダーのスペースでもいいのですがやはり商用利用は禁止しているところもあります。それにせっかく自分のお店を持つのに URL の頭に「http://www.○○○.co.jp/~myname/」ではちょっとカッコ悪いですね。もちろんこれでやっておられる方もたくさんおられますが、どうせなら自分のドメインを取ってレンタルサーバーで公開しませんか?自分の使っているサーバー会社 CsideNet の独自ドメインサービスは 150MB のスペース(Web、メール共用)に独自ドメイン取得がついて月に 2800 円です。いわば店舗を月にたったこれだけの金額で借りているのです。これくらいの出費ならなんとかなるでしょ?ドメインをきちんと取っていることで信用にもつながるし、悪くないと思います。汎用 JP ドメインとかもあるので検討してみてください。

第 6 部 ホームページの公開

公開場所も決まってコンテンツもできた、あとは公開するだけ=開店となるのですが、ただ公開しても人は集まりません。相互リンクから来る方もいるでしょうが、もっと多くの人に見てもらえないと商売にはなりません。そこでホームページの存在を多くの人に知ってもらいましょう。

まずは一括登録サイトの老舗「一発太郎」を利用して検索サイトなどに一括登録をしましょう。ガイドに沿って進めば間違うことはないので簡単です。

次にホームページ紹介メールマガジンの老舗「ファーストニュース」に投稿しましょう。6 ヶ月に 1 回投稿できます。7 万人以上の人に読まれているメールですのでかなりアクセスが増えると思います。

その他にも「アクセス向上」などのサイトはたくさんありますのでそれらを参考にしながら宣伝活動をしていきましょう。ただし一番大事なのはコンテンツと目録。アクセス数がどんなにあっても売れるサイトとイコールにはなりません。充実したコンテンツと目録が作れるように日々精進が必要です。

第 7 部 最後に

簡単ですがこれでオンライン古本屋の作り方を終わりにします。まだまだ足りない部分もあるかと思いますがだいたいこんな感じで私の店は作りました。これを反面教師にしてもよし、信じるもよしってことで、とにかくオンライン古本屋はちょっと頑張れば案外簡単にできるよ、ってことが伝わればいいなあと。立ち上げるよりも維持する方が何倍も大変なんですけどね。まだまだ駆け出しの古本屋ですが少しでも皆様のお役に立てましたでしょうか?
最後に「古本屋は儲かりません。好きじゃなきゃできないよ」と言わせていただきます。どう考えても儲からないです。手間がすごくかかる割に利益率はさほど大きくないし。よほど大規模にやらないと利益を出すのは(=これで生活するのは)難しいです。本当に趣味の世界ですよ、これ。

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